宿題をしてこない子がいる!教師はどう対応すべき?

何度注意しても宿題をやってこない・・・そんな児童、生徒が必ず1人はいるものです。いや、1人とは言わず何人もいるクラスだってあるでしょう。宿題をやってこない子がいたとき、教師はどのような指導をしていけばいいのでしょうか?

 

宿題をしてこない子にどう対応すべき?

まずはしてこなかった理由を聞く

宿題をしてきていないと分かった瞬間に怒る、そんな教師はいないと願いたいですが念のために(笑)子どもが宿題をやってこなかったら、まずはしてこなかった理由を聞いてください。教師がどう対応すべきかはその理由によって変わります。

宿題をしてこなかったとしても、家の用事(法事など)や体調不良などのやむを得ない事情があった際には1日くらいなら見逃す教師が多いでしょう。しかし、何の理由も無くしてこなかったり次の日すると言っていたのに2日続けてしてこなかったりしたときには毅然と指導しなければなりません。

 

注意しても解決しないときは・・・

しかし、はっきりとした理由もないのに宿題をしてこない子の中には、注意したり厳しく叱ったりするだけでは宿題を提出するようにならない子もいるはずです。なぜなら「宿題を提出しない」というたった1つの問題においても、その原因は子どもの数だけ様々にあるからです。原因が違えば解決策も変わってくるので、その場しのぎの対応では解決できないこともあります。そこで、子どもが宿題をしてこないときに考えられる原因やその子の心理、解決策を考えてみました。

 

 

子どもが宿題をやってこない!考えられる原因と解決策

子どもが何日も宿題をしてこないとき、多くの場合はその子自身に問題があります。宿題は家でしてくるものなので保護者の責任もあるでしょう。しかし、「子どもが悪い」「保護者が悪い」と言っているだけでは教師のいる意味がありません。また宿題が学校から一方的に出されるものであることを考えると、教師もできる限り子どもが宿題に取り組めるような環境を作っていくべきだと思います。

 

宿題のやり方が分かっていない

「宿題のやり方?そんなの自分で考えれば分かるでしょ。」そう言いたくなるかもしれませんが、ここでつまづく子は意外と多いです。人のやる気というものは、自分のすべき行動が明確にイメージできたときの方が高まります。逆に言えば、明確なイメージを持てないせいでやる気がなくなってしまうこともあるということです。

例えば「漢字1ページ」という宿題を出すとき、あなたはそのやり方をどこまで子どもに伝えているでしょうか?どのページをやるかということは伝えると思いますが、できればどのようにやるか」ということまで伝えた方が効果的です。なぜなら「漢字1ページ」という単純な宿題であっても、そのやり方は様々にあるからです。

  • 漢字だけを書くのか、漢字を含めた文章を書くのか
  • 同じ漢字や文章を何回または何行書くのか
  • 振り仮名は最初だけ書くのか、最初だけでなく後の分にも書くのか
  • 振り仮名は新出漢字だけに書くのか、漢字には全て書くのか
  • ドリルの数字は書くのか、書かないのか
  • 平仮名は1文字1マスにするのか、それとも小さく書いて1マスに2~3文字入れるのか
  • マスがあまったらどうするのか
  • 日付やドリルのページなどはどこに書くのか
漢字の宿題をするときに子どもが悩みそうなポイントをざっと挙げてみました。「漢字1ページ」というのは一見簡単な宿題ですが、子どもたちが漢字の宿題に取り組もうとするとこれだけの事項で悩むことになります。宿題のやり方に関して明確なイメージを持てないと、とるべき行動がハッキリしないためやる気が一気に低下してしまうのです。まずは、宿題のやり方を細かい部分まではっきりと提示してやる必要があります。これを徹底すれば、宿題のやり方が学級で統一されて全体的なバラつきも無くなるのでおすすめです。

 

 

上記の指導をした上で、宿題のやり方だけでなく「取り組み方」についても指導してください。「取り組み方」というのはつまり、家に帰ってからどのような流れで宿題をすればいいかということです。

  • 家のどこで勉強をするかを決めさせる。(リビングのテーブル、自分の部屋の机など具体的に)自分が最も集中できる場を自分で決めさせること。
  • 放課後のどの時間を使って宿題をするか決めさせる。帰ってすぐ、遊んで帰ってから、ご飯の前など具体的に。
  • その日の宿題をするのに必要な道具を重ねて左側に置き終わったものを右側に置く、連絡帳を見ながら宿題をして終わったものにチェックを入れる、メモにやらなければいけない宿題を書いて終わったら線を引く、などとにかく具体的にイメージできる作業の流れを示してやる。保護者と決めたものや本人の希望する流れがあるならそれを実行させても良い。
宿題をやってこない子の中には、家庭学習の取り組み方がイメージ出来ないために宿題ができない子もいます。上記のように家庭学習の取り組み方についての具体的なモデルを提示してやることで、宿題との向き合い方をつかみ提出できるようになることもあるのです。これらの指導は子どもが宿題を忘れる前の段階で全体指導を行い、全員に徹底させることが大切です。

 

 

課題が難しすぎる・量が多すぎる

宿題の内容が難しすぎたり量が多すぎたりすると宿題をやりたくてもできない、終わらせられない子がいます。まず、出している宿題の内容や量が子どものレベルに合っているかを考えましょう。上位の子のレベルに合わせてしまうと下位の子がきつくなってしまうので、レベルは中間か下位の子に合わせるくらいがちょうどいいです。レベルの高い課題については宿題に出すのではなく、授業で教師が説明しながら取り組ませる、グループで取り組ませるなど下位の子でも取り組めるような状況で実施することをおすすめします。

宿題は誰でも取り組めるような漢字や簡単な計算などを出すのが一般的です。漢字や計算は基礎なのでレベルが高いということはないですし、特に問題はありません。ですが、担任している子どもたちの特性によってはそれが当てはまらないこともあります。学年が上がって学習内容が難しくなってくると特に計算は自分だけの力で出来ない子が出てきたり、漢字でも書くのが苦手な子やLD(学習障害)の子にとっては厳しかったりすることがあります。そのような理由で宿題が出なくなってしまったときは、教師も臨機応変に対応することが大切です。

出している宿題のレベルが適切にもかかわらずあまりにも簡単なところでつまづいて出来ない子が多い場合は、まず授業を見直してください。教師の教え方が悪いと子どもは学習内容を理解することができません。家で計算問題をしなさいと言われても、そもそも計算方法が分からなければ話にならないということです。

教師の授業ではなく子どもの特性に原因がある際は、その子の能力を客観的に捉えた上で保護者ともよく相談してみてください。話し合う中で、今のままでは宿題を自力でやってくることが難しいと判断した場合は宿題の量を減らしたり問題を変えたりすることがあってもいいと思います。宿題を出さない、出来ないままよりも確実に出来ることに取り組ませることが大切です。もしも努力すれば出来ると判断したのであれば課題を変える必要はないので地道に取り組ませるしかありません。

 

 

宿題をやる時間がない

宿題を出さない子の中には、たくさん習い事をしていたり家のお手伝いをしたりしていて物理的に宿題をする時間が取れないという子が稀にいます。塾の宿題があって学校の宿題が間に合わないというケースも増えてきているようです。このような場合には、すぐに保護者と相談して状況を改善してあげた方が良いです。そうしないと子どもが学校と家庭の板挟みになって苦しむことになります。

習い事が原因のときは、学校の勉強が最優先」ということをはっきり伝えるべきです。ただ、状況にもよるので保護者と子どもの希望を聞きながら所属校の管理職ともよく相談した上で伝えた方がいいと思います。ですが、よほどの事情が無い限り特別扱いはしない方がいいでしょう。特別扱いを許してばかりいると他の子どもたちや保護者の不信感につながってしまいます。

忙しい家庭にいる子で家事の手伝いや自営業の手伝いをしている場合には少し状況が変わります。なぜなら、その子が手伝わないと生活を維持していくことが難しくなるかもしれないからです。この場合もできれば保護者と相談した方がいいです。宿題を提出するに越したことはありませんが、学力に問題がないのであればそっと目を瞑ることがあっても仕方ないと思います。

習い事と家の手伝いでは状況が異なるため、どのような理由で時間が確保できないかをしっかり聞くようにしてください。その際、子どもの言うことだけを聞くのではなく保護者にもきちんと事実確認を取ることが大切です。子どもがごまかしていることもあるので、私は電話する前に必ず「家の人にも聞くけど、いい?」と聞いていました。「聞いていいです。」「いや、それはちょっと・・・」など、子どもの反応を見ればごまかしているかどうかは大体分かります。ですが、中には堂々と「大丈夫です。」と言ってごまかす子もいます。保護者に聞くと「いいえ、時間はあるのでさせてください。」と言われることもあるので(笑)必ず確認した方が良いです。

 

 

怠け始めた

これまで宿題を出していたのに突然してこなくなったという子がいるとき、その子は何か生活に変化が起きたかそうでなければ単にサボっている可能性があります。事情があるなら状況に応じて必要な支援をしてあげる必要がありますが、サボっているのであれば毅然と指導してください。

何の理由もなく宿題をしてこなかったとき、「明日は必ず出してね。」と諭すだけではまたしてこない可能性が高いです。なぜならこのやり取りによって、宿題をしなくても許されるという経験をしてしまうことになるからです。何のお咎めもなくたった1言の注意で宿題をしなくて済むのであれば、その方が良いと思う子もいます。

私の学級では体調不良で休んだ子の宿題は免除にしていましたが、受け持った子の中にはそこに目をつけて1日おきに学校を休み出した子がいました。1日学校に来て次の日休めば、2日分の宿題をしなくて済むからです。元々休みがちな子で家庭も放任気味だったのでこのようなことになったのですが、これを放置しておくと当然良くないのでその子に限っては休んだ分の宿題も提出させるようにしました。すると観念して学校に来るようになりましたが、宿題のために学校を休むというのは驚きです。そのまま放置していたら不登校になっていたかもしれません。

怠けて宿題を出さなくなった子に対しては早急な指導が必要です。対応は早ければ早いほど事態の深刻化を防ぐことが出来ます。宿題を怠け始めたにもかかわらず放置していると「この先生は宿題を出さなくても注意しない。」と足元を見られます。そうなると子どもは宿題を出さずに楽することを覚え、賢くなってくると教師が忙しいタイミングを狙って同じことをします。このくり返しで子どもはどんどん悪い意味での成功体験を積むことになり、宿題以外の面でもそれが常態化するので気をつけて下さい。

子どもが怠けて宿題をしてこなかったときは最初の時点ですぐさま指導することが大切です。その際は、なぜ提出しなかったのかを確認・怠けたことを認めさせる・その日のうちに提出させる、この3つを実行してください。すぐに指導すれば子どもも教師の指導に隙がないことを悟り、ほとんどの子はまた提出するようになります。このように子どもが悪い方向へ変わり始めた時はなるべく早いうちに正しい方向へ戻してやることが大切です。

 

 

宿題すること自体を忘れてしまう

子どもが「宿題するのを忘れてしまった」と言ったとき、本当に忘れてしまったのかしてこなかったことの言い訳をしているのか本当のところは分かりません。しかしどちらにせよ、「忘れたからしなくていい」と許してしまうのは良くありません。かといってただ怒るだけでは意味が無いので、次から忘れないようにするにはどうすべきかということを子どもと真剣に話し合うべきです。

たとえ言い訳だったとしても、「するのを忘れてしまった」と言っている時点ではまだ「宿題はしなければいけないもの」という認識を持っています。その姿勢を評価し、少しずつ「提出するのが当たり前」という感覚を取り戻させることが最も重要です。「宿題を出さなくてもいい」という感覚が当たり前になってしまうと、その先その子は提出物を出さなくても平気な子になってしまいます。そうなると社会に適応できない子になってしまうので注意が必要です。

本当に忘れてしまっている場合については、まず教師が「忘れるのは良くない」という姿勢を貫きましょう。許してしまった時点で子どもはまた同じことをくり返します。

  • 宿題は先生との約束であることを確認。約束が守れない人は信用されなくなることを伝える。
  • 宿題を忘れてしまった原因と次に忘れないための対策について話し合う。

原因と対策について話し合っておくことは非常に重要です。原因と対策が分かっていれば次の失敗を防ぐことができますし、仮にまた忘れてしまったときにも前回の話し合いをもとに指導することが出来ます。たとえば宿題を忘れたのが「前の日に連絡帳を確認しなかった」ことが原因で、「次からは連絡帳を確認してチェックする」という対策を子どもが約束したとします。同じ子がまた宿題を忘れてしまったとき、連絡帳を確認してないのと確認したけれど違うところでつまづいてしまったのとでは成長具合が違いますよね。前回の反省をどこまで生かせたかによって教師の対応も変えていくべきです。反省を全く生かせていないときにはその点を厳しく叱ってください。子どもは自分で約束したことが出来ていないと分かっているので厳しく注意されても納得します。

以上の指導を行った後は、家庭学習の習慣が身につくまで粘り強い指導を続けてください。未提出が何日も続いた場合は保護者に報告した方がいいかもしれません。親に隠れて提出していない子もいますし、きちんとした家庭であれば報告するだけで宿題が出るようになることもあります。ただ、家庭によっては子どもに張りついて宿題をさせる余裕が無いところもあるので無理に押し付けるのは避けてください。毎日やっているかどうかを見るだけの簡単なチェックをお願いするなど、家庭環境に応じた支援をすることが大切です。

 

 

やりたくないからやらない

最もやっかいなのがこのパターン。このような子どもの場合、保護者も提出物や校費の支払いに無頓着なことが多いです。ふつうは提出物を出す親の姿を見たり親に注意されたりして子どもは提出しないことに対し不快感や焦りの感情を持つため、宿題もきちんと出すようになります。なので子どもが「宿題は出さなくてもいい」という考えを持っていてしかもそれを教師に言えるということは、保護者もそういった考えである可能性が高いです。

親が「宿題をやりなさい」と注意しているにも関わらずやりたくないから提出しないと言っている場合には、親にも学校にも反抗しているパターンかもしれません。開き直っているにしろ反抗しているにしろ、「やりたくないからやらない」という子どもに宿題を提出させるのはかなり難しい状況です。前者の場合は保護者の意識が変われば宿題を提出するようになるかもしれませんが、それでもなかなか厳しいと思います。後者の場合には保護者と連携しながら粘り強い指導を続けていくことが大切です。

  • 子どもと教師の間で信頼関係を築くことを優先
  • 状況に応じて保護者と相談
  • 宿題を提出することの大切さをくり返し伝える

改善が見込めない状況では、宿題を出させる前にまずその子との間に信頼関係を築く必要があります。なぜなら、まずはその子にとって教師が影響力を持つ存在にならなければいけないからです。子どもが「この人の言うことは聞こう」という思いを持ってはじめて、教師の言葉が子どもに届くようになります。それができないうちに無理やり提出させたところで、その子は宿題に対してより一層否定的な感情を募らせるだけです。

子どもの様子を見ながら状況に応じて対応策を考えてください。保護者も悩んでいるのであればできる限り話し合いながら協力して子どもを見守っていくことが大切です。状況は悪くとも、教師だけ・保護者だけで解決するより連携しながら取り組んでいく方がより効果的です。

 

 

宿題の督促にこだわり過ぎないこと

宿題をするのは本来子どもの責任であり、子どもに宿題をさせるのは教師ではなく保護者の責任です。教師がすべきことは、宿題を出すこととチェックすることであって子どもの宿題を監督することではありません。もちろん宿題をしてこなかった子どもに教師として指導すべきですが、全ての責任を教師だけが負うのは間違っていると思います。

最近は共働きの影響もあって宿題をしてこない子どもが増えています。休み時間を使って宿題をしてこなかった子どもに宿題をさせる教師は多いと思いますが、そのせいで心身が疲弊してはいませんか?宿題の督促に疲れ果てて日常の仕事に影響を及ぼしているとしたら、それこそ問題です。宿題をさせることも大切ですが、必要な指導をした後は「子どもと保護者の責任」と割り切ることも大切です。