宿題はいらない?宿題の意味や必要性、なくすことは可能か

なぜ宿題があるのか

ほとんどの学校では当たり前に宿題が出されていると思いますが、そもそも宿題というのは何のためにあるのでしょうか。子どもに宿題をやってくるよう指導するためには、まず教師がこの問いに対する答えを持っておくべきです。宿題の指導に苦労しているのであれば、まず宿題の意味や存在意義について考えてみましょう。

 

宿題の意味や必要性とは

宿題は何のためにあるのか?そう聞かれたとき、ほとんどの教師は2つの目的があると答えるでしょう。

1つ目は学力の向上です。より多くの子にしっかりと学習内容を定着させるためには、学習時間の確保が必須です。時間をかければいいという問題ではありませんが、同じ要領でやるとすれば短い時間より長い時間、1回より2回、3回と復習させた方が学習内容の定着度が高まるのは言うまでもありません。宿題を出せば、学校の授業に加えて家庭での学習時間を確保することが出来ます。学校だけで復習時間をとるならば1回の復習になりますが、宿題を出せば2回の復習をさせることが可能になります。さらに予習にも取り組ませるとしたら、家庭での予習・学校での授業・学校での復習・家庭での復習と同じ学習内容を4回繰り返すことが出来るのです。このように宿題を出すことで学習内容の定着を促し、学力向上につなげる狙いがあります。

2つ目は家庭学習の習慣を身につけさせることです。子どもは誰でも中学校までは学校に通って勉強をします。ほとんどの子は高校まで勉強をしますし、大学に通えばその期間はさらに長くなります。その間、家庭学習の習慣が身についている子と身についていない子では、家庭学習の習慣が身についている子の方がより多くの時間を勉強に費やすことができるため学力は高くなります。小学校までは学校の勉強で足りるかもしれませんが、中学・高校になると学習の範囲が広がって量も増えるので、定期試験でそれなりの点数を取るためには試験勉強をする必要があります。しかし、家で学習する習慣が身についていないと試験勉強は出来ません。家庭学習の習慣が身についている子どもの学力は向上し、学力が向上すれば進路も広がります。このように子どもの将来をたどっていくと、家庭学習の習慣が身についているかどうかはかなり重要なのです。しかし家庭学習の習慣というのは放っておいて身につくものではありません。継続する中で身につけさせていく必要があります。毎日継続して宿題に取り組ませることで家で勉強することが当たり前になり、家庭学習の習慣が身につくのです。

 

自分の答えを持つ

宿題の主な目的は上に挙げた2つですが、この2つ以外にも人によって様々な意味や目的が見出せます。たとえば私は成績の良し悪しに関わらず、出された宿題を毎日こなして提出する力というのは大切な能力の1つだと思っています。なぜなら、宿題をやり遂げて提出するという行為には仕事に通じる部分があると感じるからです。将来子どもが会社に勤めたとき、任された仕事をこなして期日通りに提出するという場面は必ず訪れます。そのとき、子どものうちから宿題をきちんと出すのが当たり前になっている子は社会に出ても責任感を持って仕事に向き合うはずです。しかし宿題を出さなくても平気な子というのは、課された仕事を途中で投げ出すかもしれません。これまでそうやって生きてきたのに、いきなり自分を変えるのはなかなか難しいことです。たとえ能力が多少劣っていたとしても期日を守って仕事をやり遂げられれば人から信頼されますが、それが出来ない人が信頼されるはずはありません。そう考えると、学力向上や家庭学習の習慣をつけること以外の意味でも宿題は重要なのです。

このように、宿題の存在意義は1つではありません。努力することを学ぶ・自分に合う勉強法を見つける・効率よく物事をこなしていく術を身につけるなど、人によって様々な意味を持つはずです。様々な角度から宿題というものを捉え、その大切さを子どもに伝えてください。これまでの経験やその中で身についた価値観に基づいた指導であれば、より現実感を持って子どもたちに伝わります。教師の腕の見せどころです。子どもたちに宿題を課す以上、「なぜ宿題をやってくることが大切なのか」ということの答えを持っておいてくださいね。

 

 

宿題は本当に必要?

宿題は子どもにとって嫌なものです。そしてそれは教師にとっても同じ。ただでさえ教師の仕事は多忙ですが、宿題があることでその管理や丸付けに追われます。忙しい合間をぬって宿題をチェックしているのに、子どもは宿題を出さない方が喜びます。わざわざ子どもが嫌がる課題を出し、そのチェックで教師も休憩時間や授業を考える時間を奪われるなんて本当にやりがいがないです・・・。でも、だからと言って宿題を出さないわけにはいきませんよね。しかし、そんな宿題は本当に必要なのでしょうか。

 

宿題は無意味・逆効果なこともある

上の方にも書いたように、基礎的・基本的な知識を身につけさせるために漢字や計算などを反復させることは重要です。宿題を出すことによって基本的な知識を家庭で定着させ、学校の授業で発展的な内容を指導するというのは理想の流れでしょう。しかし、漢字の読み書きや計算能力が宿題によって定着しているかどうかは別問題です。

そもそも家は子どもにとって安らぎの場であり、勉強の場ではありません。家で勉強していてもきょうだいの声で気が散ったりテレビやゲームの誘惑に惑わされたりしてなかなか集中できないことの方が多いはずです。学校の授業時間であれば緊張感がありますが、家で学校と同じような緊張感を持って机に向かうのはなかなか難しいでしょう。そのような環境の中で勉強しても内容はあまり定着しません。子どもの提出した宿題を見てみれば分かりますが、字が乱雑だったり小さなミスが連発していたりと学校に比べてやり方が適当になっている子が多いです。このように家庭で緊張感を持って勉強している子は少なく、宿題で基礎を定着させることが出来るとは言い切れないのが現実です。つまり学力向上の点であまり大きな意味を成し得ていないということですね。

また、宿題は「させられている」と感じている子がほとんどでしょう。無理矢理させられることほど楽しくないものはありません。もしかしたら、宿題が勉強嫌いを生み出しているかもしれませんね。そうなれば、宿題は無意味どころか逆効果となってしまいます。きっとこれに当てはまるケースは多いはずです。

 

 

宿題以外の大事な時間がある

「子どもは遊ぶのが仕事。勉強も大事だけれど、うんと遊んだ方がいい。」そんな考えの方も多いでしょう。子どもは成長するにつれて部活や勉強・バイトなど色々なことで忙しくなり、純粋に遊んでいられる時間はだんだん減っていきます。何も気にせず、ただ無邪気に遊んでいられるのは子どもの間だけです。そんな貴重な時間を宿題に追われて過ごすのは勿体ないですよね。

また、子どもにとって家族と過ごす時間も貴重です。子どもはいつか親の元を離れていきますが、学生の間は子どもと保護者が一緒に過ごせる唯一の時間です。子どもにとって宿題をするのはもちろん大切なことですが、保護者に絵本を読み聞かせてもらう・家事を教えてもらう・買い物にでかけるなど、家族と触れ合う時間は宿題と同じくらい、またはそれ以上に大事なものではないでしょうか。宿題に追われて家族とのゆったりした時間が取れないという状況は避けたいものですね。

 

 

そもそも宿題を出さない、なくすというのはアリか?

このように考えていくと、宿題は必ずしも必要でないような気がしてきます。教師の中には様々な理由から宿題が必要でないと考え、宿題を子どもに課さないというやり方を貫いている人もいます。その教師の学級の子どもたちはそもそも宿題をしなくていいということです。宿題は出すけれど督促はしないということを全面に出している教師もいます。考えられないかもしれませんが、本当にいるのです。そのような教師の考えは「授業で十分な学力をつけてやれば宿題をさせる必要はない」というものです。つまり学力が保証できていれば宿題を出さなくても問題ないということですね。

 

現段階で宿題の廃止は難しい

宿題を出さない教師の意見も筋は通っていますが、かと言って自分がそのやり方を真似できるかと言われると・・・うーん、厳しいですね。そもそも学力に「これで十分」という基準は無いですし、自信を持って「学力を保証できます。」と言える人はそうそういないと思います。

仮に十分な学力を保証できたとしても宿題を出す目的のもう1つ、家庭学習の習慣は宿題を出さなければ身につきません宿題を出さない教師の学級で過ごす子どもたちは1年間家庭学習の習慣が抜け落ちることになり、新しい担任のもとで家庭学習の習慣をもう一度戻さなければならない子どもたちは大変です。(子どもだけでなく習慣を戻す担任もかなり大変だと思います。)

ほとんどの教師が当たり前のように宿題を出しているなか自分だけ宿題を出さないというのはかなりリスキーです。管理職や保護者が納得するだけの実績や実力がなければ指導とクレームの嵐になることを覚悟してください。また、毎日子どもに宿題を出さなければならないということが全体の方針として決まっている学校もあります。このように現段階で宿題をなくすというのはかなり難しいでしょう。

 

 

宿題に関する指導の在り方を見直してみる

現段階で宿題を廃止するのは難しいですが、宿題に対する考え方や向き合い方を見直すことは出来ます。現状に不満がなければそのままの指導で構いませんが、もしも子どもが宿題をしてこないことに敏感になっていたりその指導にストレスを感じていたりするのであれば、一度指導の在り方を見直した方がいいかもしれません。