なぜ叱るのか?効果的な叱り方と叱るときのポイント

日常生活において人を叱るということはほとんどありません。そのため、叱ることに慣れていない若手教師は子どもを叱ることに対して抵抗感が強いです。私も最初は子どもを叱ることに躊躇してしまったので気持ちがよく分かります。出来ることなら子どもを叱ることは避けたいものです。

しかし、1年間という長い時間を子どもたちと過ごしているとどうしても叱らなければならない場面があります。ここでは、叱ることの必要性や子どもが絶対にしてはいけないことをしたときの叱り方、叱るときのポイントなどについて解説していきます。

 

叱らないとどうなるか

もしも子どもが何をしようが知らん顔で教師が全く叱らずにいると、怒られないことを悟った子どもたちは教室で好き勝手し始めます。最初は教室が騒がしくなる程度で済むかもしれませんが、それがエスカレートしていくといじめや授業妨害が横行するようになります。教師が子どもを叱ってばかりいると教室の雰囲気は悪くなりますが、全く叱らなかったとしても力のある子どもが教室を牛耳り始め、学級はどんよりとした重い空気に包まれてしまうのです。

どんなに学びたくないと思っても、子どもは学校に来なくてはなりません。教育はある意味強制的です。しかし、たとえそうであっても学校は学ぶ所であり、わがままを言って人に迷惑をかけていい場ではありません。教師はそのことを子どもたちに理解させ、教室に引き締まった空気を作り出していく必要があります。

 

子どもは叱られることを覚悟している

そうは言っても、幼い子どもを叱ることにはやはり抵抗があるかもしれません。しかし、案外子どもは悪いことをしたら叱ってほしいと望んでいます。何をやってはいけないのか、それをしたらどう叱られるのかを知りたいと思っているのです。それは社会のルールを学ぶことにもつながっています。

教師が全く子どもを叱れないと、子どもたちは不安になります。教師が叱れず子どもの言いなりになるということは、学級の頂点にいるはずの教師に権威が無いことを意味するからです。もしそうなってしまうと、学級から正義が消えてしまいます。

悪いことをしたら叱られるというのは、どの子もちゃんと分かっています。常に子どもを睨み付け威圧する必要はありませんが、子どもが絶対に許されないことをしたらしっかりと叱るべきです。

 

効果的な叱り方

その場で叱る

あの時こうだった、と過去のことを持ち出して叱っても効果はありません。たとえば教室が騒がしいならその時その場でピシッと叱るのが最も効果的です。その時は何も言わず、「きのうの4時間目はとても騒がしかった。」と叱ったとしても子どもはいまいち自分たちの様子を自覚できません。そのような叱り方ばかりしていると、子どもから昔のことを蒸し返すしつこい先生だと思われるようになる可能性もあります。時間が経てば経つだけ叱ることの効果は減ってしまうので、叱るべきことはその場ですかさず叱ることが大切です。

 

1つのことを短く叱る

子どもを叱るとき、時間をかけてだらだらとお説教するのは良くありません。短い言葉でスパッと指摘する方がいいです。プロ教師ほど叱る時間は短く、1分叱り続けることはありえないという方もいます。

また、叱るときはいくつも内容を詰め込まないで1つのことについてだけ叱るようにしましょう。同時に色々なことを叱り出すと子どもたちは何について叱られているのか分からなくなります。1つのことをスパッと叱り、その後は何事もなかったように普通に語り始めればいいのです。

 

本気で、全力で叱る

子どもを叱るときに中途半端な気持ちでいることは絶対にいけません。叱るときに教師がひるんだり躊躇したりすると、その迷いは子どもに伝わります。そして迷いながら叱ると子どもは教師に不信感を抱きます。叱るときも褒めるときも、経験が浅い教師は「ゆるい」から上手くいきません。どちらも本気の思いを持って全力でやらなければ子どもに届かないのです。

子どもを叱るときは全力で叱ってください。そうしなければ子どもは真剣に受け止められません。反省するとしたら、叱った後。叱るべきでなかった、他の方法があったという場合には同じ場面で失敗をくり返さないように気を付けることが大切です。失敗を恐れるばかりでは教育は出来ません。叱るのであれば、その時は「叱るべきだ」と判断した自分の意思に自信を持ち、確信を持って叱るようにしましょう。

 

迫力を出す

叱るときに最も大切なのが迫力です。叱るときには全身全霊を込めてください。どのような言葉で叱ろうか迷ってしまうかもしれませんが、大切なのは言葉ではありません。意味のない言葉でも迫力があれば教師の怒りは伝わります。反対に、どんなに正しいことを言っていたとしても迫力が無ければ子どもは教師の怒りを読み取れません。口うるさいなぁくらいで聞き流している可能性もあります。迫力によって教師の真剣な想いを伝えましょう。

 

行為のみを叱る

叱られたとき、子どもは自分を否定されたと感じて落ち込むことが多いです。しかし、叱るべきときは叱らなければなりません。なので、叱るときはその子を否定するのではなくその子の言ったことやした行為だけを否定するよう気をつけて下さい。

「○○さんは~~ができる素晴らしい人。なのにどうして~~をしたのか。」「あなたのことは好きだけど、あなたが~~したことは絶対に許せない。」言い方は色々とありますが、自分を否定されているわけではないことが分かると子どもは安心します。そしてその方が自分のした行為の悪さも素直に認められるのです。

 

叱るときのポイント

私的な感情で叱らない

指導の一貫として子どもを叱ることと私的な感情をぶつけることは全く違います。どんなに教育的な理由を並べたとしても、イライラした気持ちをコントロールすることなく子どもを怒鳴ることによって発散させたのだとしたら、それはただのストレス発散です。

叱るときには少なからず「怒り」の感情が含まれています。子どもが叱られるほど悪いことをしたのですから、当然怒りが込み上げているはずです。しかし、怒りをそのままストレートにぶつけてはいけません。最初に湧き上がった怒りを抑え、気持ちを立て直して「叱る」指導へと変えなければならないのです。あくまでコントロールした怒りのもと叱るということです。なかなか難しい芸当ですね(^^;)だからこそ叱ることは非常に難しいと言われています。

 

みんなの前では全体を叱る

子どもにもプライドや尊厳があるため、1人の子を叱る場合は個別に叱るのが原則です。みんなの前で叱られた子どもは非常に恥ずかしい思いをしますし、それが続くと学級での立場も無くなってしまいます。子どもの個性を見極めるまで、1人の子を全体の前で叱ることは控えてください。(緊急性の高い場合は別です。)どうしても叱りたいことがあるなら人目のない所に連れて行きさえすれば個別に叱ることは出来ます。

 

褒めるために叱る

叱ることの目的は子どもを責めることではありません。子どもを叱責するときは、その子を良くするために叱るのだという意識を持ちましょう。ストレス発散ではなく 教育的指導のために叱るのであれば、そこには必ず子どもの「成長」があるはずです。

叱られた子どもに求められるのは自分の過ちを認め改善することであり、叱った教師にはそこまで見届ける責任があります。もしあなたが叱った子が教え通りに自分を変えることが出来たときは、その努力を認めてあげることを絶対に忘れてはいけません。何より大事なのは叱った、叱られたという事実ではなく子どもが望ましい方向へ成長できたかどうかです。叱った後のことまで責任を持てる教師になってください。

 

叱るべきときに毅然と叱る

好きで子どもを叱るという先生はいません。ですが、教室の秩序を維持し全ての子どもを守るためにも子どもたちに「怒るとこわい先生」というイメージを持たせておくことが必要な面もあります。子どもを叱れないのでは教師としての職務を遂行できません。どうしても叱らなければいけない場面が訪れてしまったときには毅然と叱る。それが教師の責任です。ただし、教育的な目的であっても子どもを叱ることにはデメリットもあります。叱らずに解決できる問題であれば、叱る以外の方法で指導するべきです。