問題行動をする子どもへの対応

学校は、勉強して知識を蓄えたり人間関係の築き方を学んだりする場所です。ほとんどの子どもはそのことを理解しているので、学校でそれほど大きな問題行動を起こすことはありません。しかし、一部の子どもは教師の言うことを聞かない、わがままを言って自分勝手なことをする、物を投げるなど学級を壊すような問題行動を起こすことがあります。そういった子に対し、教師はどのような支援をしていけば良いのでしょうか。

 

子どもの問題行動にどう対処すればいいか

問題行動の原因の多くは家庭にある

子どもが学校で問題行動を起こすとき、その原因の多くは家庭にあります。保護者が子どもに対して必要以上に厳しくしたり、否定したり、拒絶したりすると、子どもは学校で荒れるようになってしまいます。なぜなら、その子の気持ちを受け止めてもらえる場がないからです。そして、もし担任や教師が自分の気持ちを受け止めてくれそうだと思うと、その瞬間に自分勝手な行動を取って甘えるようになってしまいます。子どもは自分の気持ちを受け止めてもらえる場を学校に求めるようになってしまうのです。

 

家庭の問題を背負いすぎてはいけない

はっきり言って、そんな家庭環境にいる子どもは可哀想です。ですが、「もっとお子様の気持ちを受け止めてあげてください」なんて保護者には言いにくいですし、それをするとトラブルになってしまう可能性もあります。

一般的に、問題行動をする子のことを教師は「悪い子だ」と思い厳しく指導するでしょう。しかし、子どもの心理を察するほどに「可哀想だ」と思う先生もいらっしゃるはずです。しかしそんな思いで子どもに接していると、学級におけるその子の行動はさらにエスカレートすることがあります。

例えば、子どもが悪いことをしたときにあなたが優しく注意をしたとします。すると子どもは、「これをすれば先生は自分に優しくしてくれる」と思い込みます。そしてその行動はさらにエスカレートしていくのです。このように、あなたがその子をどうにかしてあげたいと思えば思うほど子どもは自分のしたことの責任を問われずに済みます。そしてさらに言うことを聞かなくなっていくのです。子どもの行動がどんどん悪くなっている場合、あなたは親の責任を代わりに背負い込んでいる可能性があります。

 

教師は教師であって保護者ではない

たとえ短い時間、保護者の代わりになれたとしても保護者が変わらなければ根本的な問題の解決にはなりません。愛情をもって接していけば心が通じるはずだといったような考えをするのではなく、問題を冷静に見つめ直してみることが大切です。

教師の責任と親の責任は異なります。歯がゆい気持ちはよく分かりますが、あなたは教師であってその子の保護者になることは出来ません。もっと言えば、その子1人の先生である前にあなたは学級全員の先生です。その子1人だけに過剰な気持ちを注ぐのではなく学級全体のことを考えて指導していくことが、本来あなたの責任なはずです。もし、その子どものことであなたが心身ともにいっぱいいっぱいになっているのであれば、それは明らかに相手の責任までをも背負い込んでいます。あなたがその親の責任を肩代わりしてはいけません。それでは本末転倒です。

 

なるべく教師と子どもの間で解決する

こうした問題では、あまり家庭に入り込み過ぎないことです。家庭に問題があると分かっていたとしても、家庭の問題を解決するのはあなたの仕事ではありませんし、教師にその権限はありません。だからこそ、保護者に対して「もっと気持ちを受け止めてあげてほしい」と教師が言うのはすごく難しいところなのです。

もしここで保護者に連絡をして現状を伝えたとしても、おそらく「教師のあなたに指導力が無いせいだ」と言われてしまうでしょう。そしてほぼ確実に保護者と対立してトラブルになってしまいます。なぜなら、おそらくあなたが一般的な教師と同じように厳しい指導、あるいは他の子どもたちと同じような指導をしていた場合、子どもの問題行動が表出することは少ないからです。上述したように、あなたの関わり方に問題があったために子どもの問題行動が表出してしまったとなると、それは残念ながらあなたの責任です。個人的にはすごく心優しい行動だと思いますが、保護者はそう受け取ってはくれません。

もともと家庭の問題であるために、根本的な解決は難しいです。なので残念ですが、とりあえずの問題行動については教師と子どもの間で解決していくしかありません。それはつまりあなたが心を鬼にして対応の仕方を変えるしかないということです。そうすることでしか子どもの行動が改善することは無いでしょう。

また、その子の問題行動の原因があなたの関わり方では無く勉強が分からないことなど他にあるのだとすれば、その子でも分かる授業づくりをする、個別の支援をする、少人数授業を設定するなど他の面を改善をしていく必要があります。

 

保護者に責任を取らせる方法を考える

聞く耳を持たない親に親切に問題を指摘したとしても、保護者はその問題を学校や教師のせいにして責任転嫁をします。しかし、子どもに対する接し方を間違えた責任は決して消えません。いつかその子どもが親を越えた時、学校でしていた行動を親の前でするようになるでしょう。

あなたが親の代わりに問題を背負い込むと、その親は責任を取らずに済みます。そうなれば、ただあなたの心が疲弊するばかりです。それは、あなたにとってもあなたの学級にいる他の子どもたちにとっても良い影響にはなりません。それよりは、あなたができる限りの範囲でその保護者を教育していくことが大切です。もしも少しでも聞く耳があるのなら、相談してみるといいかもしれません。全く聞く耳を持たないという状況ならば、まずはその保護者と親密になり信頼関係を築いた上で情報を小出しにしていくというのも1つの手です。大切なのは、あなたが問題を背負うことなく保護者に気付かせていくというスタンスを取ることです。

 

問題を背負いすぎて失敗した苦い経験

最後まで読んでいただいたので、少し自分の経験をお伝えしたいと思います。実は、私自身が子どもの家庭の問題を背負いすぎた張本人でもあります。特に子どもの心を大切にしながら指導したいという思いがあり、心に問題がある子に対して敏感であったために家庭の問題にもすぐ気が付いてしまいました。そして、それを家庭の責任と放置しておくことが許せなかったのです。

子どもに親身に接しすぎるあまり、受け入れてもらえない家庭環境で育った子どもの問題行動はひどくエスカレートしました。何もしていないのに「死ね」「うざい」「消えろ」と言われることは日常茶飯事でしたし、物で殴られたこともあります。もちろん私の言うことは全然聞きません。

その子の保護者は、忙しい中でも一生懸命にその子のことを育てていました。提出物はきちんと出ますし、しつけも厳しく保護者なりに精一杯育てていることは十分に伝わってきましたし、理解できました。ただ、「子どもを受け入れる」という部分が足りなかっただけです。そんな保護者に「子どもの気持ちを受け止めてあげてください。」この一言を言ってはいけないということだけは分かっていましたし、聞き入れてもらえないだろうことも分かっていたので、あの手この手で違うところから気づかせようと必死に色々なお話をしました。ですが、結果的にその保護者とは対立してしまう形になってしまいました。そのため問題は解決できないままです。

管理職にも何度も相談しましたが、「おまえの指導が悪い」と言われただけでした。今思えば当然の結果です。でも、もう少し違う言い方だったり支援をしてもらえていたら何か違ったかもしれないとも思います。他の先生にも相談しましたが納得のいく解決方法は見つかりませんでした。学校によっては力のある先生がいて、一緒に問題を解決してくださるかもしれません。そんな先生もいらっしゃることと思います。ですが、それが良い結果を生むかどうかは家庭にもよると思いますので注意が必要です。

これまでに何度もこの問題を思い返し、どうにか出来なかったのか、何が悪かったのかと思いを巡らせました。考えすぎて夢に出てきたこともあります。そしていくつか納得のいく答えに出会い、ついにこの記事を書くまでに至りました。もしもいま同じように悩んでいる先生がいらっしゃればぜひ参考にしていただきたいと思います。まず、絶対にご自分を責めすぎないでください。そして、少しでも良いきっかけをつくれたとしたらそれだけでその子どもと家庭にとってはありがたいことです。