褒める教育は難しい!子どもを褒める技術を磨く方法

褒める教育が大切だということを知っているだけでなく褒める目的について理解することが出来ていたとしても、なかなか子どもを褒められない先生がいます。それは褒めたくないから、褒めようとしていないからではありません。褒めることが出来ないのです。

あなたが昨日学校で子どもたちにかけた言葉を思い出してみてください。1日で子どもを何回褒めましたか?覚えていないという方は、明日1日で何回子どもを褒めることが出来たか数えてみてください。きっと、想像していたよりずっと回数が少ないのではないでしょうか。

「思いのほか褒めていたなあ~。」と思われた先生に質問です。それでは、1日に子どもを注意したり叱ったりした回数と、褒めた回数を比べてみてください。もしも褒めた回数の方が多いというのであれば、褒める教育を実践できている証拠です。

 

叱ることより褒めることの方がずっと難しい

なぜこんなに褒める回数が少ないのだろうかと疑問に思われた先生は、一度子どもへの褒め言葉を思いつく限りノートに書き出してみてください。すると、褒め言葉のバリエーションの少なさに唖然とするはずです。

「子どもを褒めるようにしよう。」そう意気込み、言葉にすることは簡単です。しかし、実現させるのは決して簡単なことではありません。ほとんどの先生は、子どもを褒めて伸ばすことが出来ません。なぜなら、どうしても褒めるより叱ることが多くなってしまうからです。褒めることは叱ることより遥かに難しいことなのです。

 

褒めるより叱ることの方が多くなる理由

なぜ、褒めることよりも叱ることの方が多くなってしまうのでしょうか。それは、子どもの「出来ていない所」に目がいってしまうからです。ですが、それは教師として当然のことです。なぜなら教師の仕事は子どもの「出来ていない所」を出来るように変えていくものなのだからです。もし教師が子どもの「出来ていない所」に気が付くことができなければ、そもそも子どもを指導することが出来ません。

とはいえ、子どもの良さを伸ばしたりやる気を引き出したりするためには、良さを見つけて認めてやること・褒めることも大切です。このことは多くの教師が理解しているはずですが、残念ながら多くの教師はなかなか褒めることが上手く出来ません。なぜなら子どもを褒めるべきポイントで褒めるべきだと感じられないからです。

普通、人が人を褒めるときには、自分や他者より優れていてすごいと感じられるかどうかが基準になってきます。つまり、教師の場合だとその子が教師の想像を超えたことや他の子には出来ないようなことをしたときに初めて「褒めるべきだ」と思うわけです。それ以外は、その子がいくら頑張って出来るようになったことでも教師にとっては「できて当たり前のことだ」としか認識されません。このような大人の基準で子どもを見たとき、教師が子どもを「褒めるべきだ」と感じることが1日にそう何度も起こるはずはありません。何の努力もせず自然な感覚に任せているだけでは、子どもを褒めることが出来なくて当然です。

 

褒める技術はトレーニングで身に付く

褒めることが出来る教師は、子どもを褒めているからといって子どもの「出来ていない所」に気付いていなかったり、目をつぶったりしているわけではありません。気が付いた上で、それを出来るように変えていく手段として褒める指導を取り入れているのです。そのような教師は、なぜ叱るよりも多く褒めることが出来るのでしょうか。それは、“褒める技術”を持っているからです。

 

プロ教師が持つ“褒める技術”

子どもを褒めて伸ばすことが出来るプロ教師は、次の3つの条件をクリアしています。

1.褒める価値に気付くことができる

2.褒め言葉のバリエーションが豊富

3.褒め方が上手い

そしてこの3つの条件は、努力と練習を積み重ねることで誰でも身に付けることが出来ます。

 

“褒める技術”を磨く方法

“褒める技術”を磨くための第一歩として、まずは「褒める価値に気付く力」を高め、「褒め言葉のバリエーション」を増やすことに挑戦していきましょう。そのために最も効果的なのは、子どもの作品を褒めて練習することです。日記や作文、工作など子どもの作品であれば何でも構いません。作品なら、返すまでに時間があるので褒める練習をするのに最適です。

 

作品の中から、どれか1つを選んで出来るだけたくさん褒め言葉を書き出してみます。その際、構成や丁寧さなど目に見える部分だけでなく、授業時間に取り組ませたものであればそれを書くときの子どもの姿勢や努力など目に見えない部分も褒め言葉の中に入れて構いません。作品の良さを10個以上見つけることが出来れば合格です。はじめは良さを見つけやすい優秀な作品を選んでもいいですが、徐々にレベルを上げて完成度の低い作品にも挑戦してみてください。特に、誰から見ても出来の悪い作品からすぐに10個の良さを見つけることができたとしたら、褒める技術が身に付いてきた証拠です。

子どもの作品の良さを10個も見つけるのは大変です。しかし、これをくり返していれば自然と「褒める価値に気付く力」が高まり、「褒め言葉のバリエーション」も増えていきます。この2つがクリア出来れば、これまで見えてこなかった子どもの良さに気付く機会が増えるはずです。そしてその瞬間こそ、子どもを褒めるチャンスだということを覚えておいてください。このように、最終的には子どもの発言や行動をその場ですぐ褒められるようになることが理想です。

また、この練習は1人で取り組むだけでなく同期や同僚と一緒にやってみるのも効果的です。同じ作品でも人によって目のつけどころが違うため、自分の知らない良さに気付くことができ、さらに褒め言葉のバリエーションを増やすことが出来ます。

 

褒めるために「教える」

まずは教師が褒める価値に気付き、それを言葉にする力を持っておく必要があります。しかし、現状をただ褒めている「だけ」では子どもを伸ばすことは出来ません。子どもを褒めて伸ばすためには、きちんと「教える」ことが非常に重要です。子どもにどんな姿になってほしいのか、どのような力を身に付けてほしいのかというビジョンを持ち、そこに到達させられるよう丁寧に教えること。たとえば「マスいっぱいに、はっきりとした字で書けるようになったね!」と褒めたいのであれば、マスの大きさに合わせて力強い字で書くことを指導する必要があります。子どもがその教えに従って努力し、成長したときに褒めることで子どもはぐんと伸びていくものです。

子どもにやる気を持たせ、次のステップに進ませるためにもまず褒めるということは確かに大切です。しかし、そうではなく子どもが何の努力もしていないのに単に褒めちぎっているばかりと、子どもは「先生が褒めているからこのままでも良いんだ。」と思い込んで努力をしなくなる可能性があります。また、子どもは頑張っていないのに褒められても充実感を感じられません。まだ精一杯の努力をしていないということは意外と子ども自身がよく分かっているので、その状況で褒められても喜ばないのです。下手すると、「この先生から褒められてもあまり嬉しくない。」と思うようになるかもしれません。そういう意味でも、教師が丁寧に教えた上で褒めるということが肝心です。