教師は女性より男性の方が有利?

「男の先生はいいよね~。」という同僚の先輩がいました。「女っていうだけで子どもからなめられるし、話を聞いてくれなくなる保護者がいるからね。」

その言葉を聞いてから、私は教師が男であるか、女であるかということに敏感になり始めました。

・自分の前では好き勝手しているのに男性教師の前だと大人しくしている子どもの姿が目にとまったり

・ハリのある声や存在感で子どもをピシッとさせられる男性教師を羨ましく感じたり

・なかなか話の通じない保護者のことを相談すると「女だから下に見られているんだよ」と言われ、なるほどそうなのかと思うこともありました。

そんな場面に遭遇するたびに、自分が上手くいかないのは女だからで、男だったらもっと上手く出来るはずだと考えました。この頃にはもう、頭の中でこんな思考が出来上がっていたんです。

「男性教師は男というだけで得をしていて、女性教師は女というだけで損している!」

女というだけでダメだと落ち込み、心の中で「男の先生はずるいな~」と思っている女性教師は意外といるはずです。ですが、果たしてその考えは本当に正しいのでしょうか?

 

女の先生は大変で、男の先生は楽してる?

「私も男だったら楽に子どもをまとめられるのに。」しばらくそう思っていた私ですが、こんな先生方に出会ったことが、考え方を見直すきっかけになりました。

  • A:子どもに好かれる優しい雰囲気の男性教師
  • B:優しい雰囲気でも、ばっちり子どもを統率する男性教師
  • C:一声かけるだけで子どもをピシッとさせる女性教師

 

A:子どもに好かれる優しい雰囲気の男性教師

A先生は、穏やかな性格で同僚に対しても人当たりが良い方でした。年齢は高めでしたが教師としての経験が浅く、厳しく指導することは少ないため子どもはなかなか言うことを聞きません。でも、A先生の周りにはいつも子どもたちが集まっています。

 

B:優しい雰囲気でも、ばっちり子どもを統率する男性教師

B先生はA先生と全く同じようなタイプで、普段から温厚な性格の方です。しかし、B先生はメリハリのある指導でしっかりと子どもたちを統率しています。学級崩壊の恐れがあった学年もB先生がいることで上手くまとまっていたため、学校からも子どもからも保護者からも信頼される教師でした。

 

C:一声かけるだけで子どもをピシッとさせる女性教師

女の先生は子どもをまとめられない。そんな思い込みがありましたが、女性教師の中にも迫力ある指導で大人数のやんちゃ君たちをピシッと指導できる人はいます。私がお世話になったC先生は、一声かけるだけで子どもたちの気を引き締めることが出来る方でした。まるで男性教師のような迫力です。的確な指示で子どもを動かすC先生の指導は圧巻です。

 

上手くいかない原因は性別じゃない

A先生、B先生、C先生との出会いから気づいたことがあります。それは、

男性教師=子どもを簡単に動かせる

女性教師=子どもになめられる

このような考え方は間違いだということです。

男性であっても上手く子どもを指導できずに悩んでいる教師はいますし、女性でもしっかりと子どもを統率している教師はたくさんいます。「男だから、女だから」というのは関係ないのです。今思えば、そんなのはただの言い訳なんですね。

 

男性教師も努力しなければ失敗する

男性教師も、女性教師と同じように苦労しています。女というだけで女性教師の話を聞いてくれない子どもや保護者がいるように、男というだけで男性教師を毛嫌いする子どもや保護者がいるのです。男性教師と女性教師には、それぞれのメリット・デメリットがあるということを知っておいてください。

また、「男性教師は厳しさや面白さを武器にできて羨ましい」と思っている人も多いですが、男性なら誰でもそれを武器にできるわけではありません。何食わぬ顔でこなしているように見えるかもしれませんが、本当は「また嫌われ役か・・・」と思いながらも心を鬼にして厳しい指導をしたり、面白さを演出するためにテレビを見ながら熱心に研究したりと、陰ながらの苦労や努力があるのです。それをわざわざ口にする人は少ないので、女性教師の多くはそのことを知りません。

厳しい指導や面白さを取り入れることに挑戦してみても上手くいかないという男性教師はいます。男の先生がすごめば、子どもたちも初めのうちは大人しくしているでしょう。しかし、それだけでその先も子どもたちがついてくるなんてことは無いです。男性というだけで何の努力もせず子どもをまとめられるほど教師の仕事は甘くありません。もしその方法で子どもを上手くまとめている男性教師がいるのなら、その人はこれまで確実に苦労しながら実力をつけてきた人です。そんな人に向かって、「男の先生は(楽できて)いいですよね~。」なんて言うのは失礼極まりないことなのです。

 

あなたは、どうなりたいのか

「男の先生はいいな。」ついついこの言葉を言ってしまうのは、今の自分には乗り越えられない問題を簡単に解決している男性教師が羨ましいからです。そして、それを自分の力量不足ではなく性別のせいにして正当化しようとする気持ちも少なからず含まれているはずです。

男性教師が羨ましいと思ったとき、本当にすべきことは不満を漏らすことではありません。その人のどこがどんなふうに優れているのかを考え、それを自分にも取り入れていこうと努力することです。でも、よく考えてみてください。あなたはその男性教師のようになりたいのでしょうか?もし心からそう思うのであれば、その男性教師を手本にして努力を積み重ねることが大切です。しかしそれが自分に合うやり方でないと感じるのであれば、無理に真似しようとせず自分のやり方で子どもや保護者の心をつかんでいく方法を考えてみる方がいいのではないかと思います。

 

男性教師の憧れる女性教師に

男性教師の中にも女性教師に対する憧れを持っている人がいます。私の同僚の中には、ある女性教師を目標にしている方がいました。その同僚がいつも、「○○先生はすごい。本当に尊敬するし、あんな指導が出来るようになりたい。」と言っていたのを覚えています。

教師のスタイルに男女は関係ありません。ものすごく厳しい指導をしながらも面白いことを言ったり一緒に遊んだりして子どもたちと仲の良い学級にすることは女性教師にだって出来ますし、実際にそのようなスタイルで学級をつくり上げている人はいます。反対に、優しく細やかな指導をしながら子どもの心をつかんでいる男性教師だっているのです。どちらのやり方が良いとか正しいということはなく、それぞれのやり方には、それぞれの悩みや良さがあります。

女性教師には、出産や育児などによって制約されてしまうところがあるのは確かです。しかし、仕事の能力に差があるなんてことはありません。もちろん、教師として“男性”が武器になることはありますが、それは“女性”だって同じです。女の先生の母性や優しさを必要としている子どもたちはたくさんいます。教師は男女関係なく活躍できる仕事・・・そう思って教師になったのに、女だからという理由で自分の可能性を狭めてしまうのはとても残念なことです。

 

B先生を育てたのは女性教師

先ほど紹介したB先生ですが、なんと以前は子どもをまとめるのにかなり苦労していたそうです。今ではみんなから頼りにされているB先生も、以前はA先生と同じように子どもを上手く指導できずにいたんですね。しかもそのB先生を指導力のある教師に育て上げたのは、凄腕の女性教師だとか。いつもB先生の指導に感心していた私は、その話を聞いたとき心底驚きました。ですが、そう言われてみると確かにB先生の指導には、男性教師特有の威圧感で抑えるやり方があまり見られません。それは、女性教師が築き上げた細やかな指導法がB先生に受け継がれているからなんです。

男性であっても女性であっても、着実な努力を続ければ誰だってプロ教師になることが出来ます。ぜひ、男性教師から羨ましがられるような指導ができる女性教師を目指してください。