教師が決める席替えで文句が出ないようにするコツ

授業や学級経営の面から総合的に考えると、子どもの席は教師が決めるのが1番です。しかし、これまでくじや自由席に慣れてしまっている子どもたちであった場合、そもそも教師が席を決めるという方法自体を受け入れてくれないかもしれません。また教師が一方的に席を決めるやり方で万が一失敗してしまった場合、子どもの不満や文句の矛先は確実に教師へと向かいます。そうならないためにも、教師が席を決める際には様々な配慮が必要です。

 

文句や不満が出ないようにするためには

最初に全て伝える

4月は、子どもが教師の言うことを吸収しやすい時期です。席替えのルールについても出会いの時期に子どもが納得するよう全てきちんと説明しておけば、1年間文句が出たり反発したりすることはほとんどありません。反対に、あらかじめルールをはっきり提示しておかないと隙を作ることになります。教師がどうしようか迷っていると子どもは自分の良いように主張し始めます。それを受け入れてばかりいるとだんだん抑えがきかなくなってくるので、席替えについてもあらかじめ教師の中でルールを作っておいた方が良いです。

 

計画的に席を決める

くじ引きにしようが教師が決めようが、席替えに文句や不満はつきものです。子どもは自分が思った通りの席にならなければ文句を言います。しかし、くじ引きと教師が決める席替えでは「運で片付けられるかどうか」が決定的に違います。くじ引きや自由席の場合、自分で決めたという事実があるので思った通りの席にならなくとも子どもは「運が悪かったな」と思うだけです。不満の矛先が教師へ向かうことはまずありません。しかし、教師が決めた場合は「先生が自分をこの席にした」という事実があります。そのため子どもの不満は教師へと向かいます。

教師に向かってダイレクトに文句を言ったりたった1回の失敗で教師を嫌ったりする子どもはほとんどいないと思いますが、不満が出ないように対策できるところは徹底していくべきです。小さな不満が募り、それが爆発すると教師への不信感につながることもあります。教師が決める以上、どの子も快適に学習できる配置にしてあげることが大切です。

 

 

 

最初に説明しておくこと

まずは、教師が席を決めるという方法を子どもに受け入れさせる必要があります。その上で、教師が主導権を握りながら楽しく気持ちよく席替えを実行していくことが子どもの文句や不満を生まないために大切なことです。そのためにもあらかじめ教師の中でルールを作っておく必要がありますが、具体的にどのようなことを明確にしておけばいいのでしょうか。

私は4月に席替えのルールを全て伝えて1年間教師が決める方法で席替えをしたことがありますが、子どもから不満の声が上がることはありませんでした。その際、あらかじめ子どもに伝えておいたのは次の3つです。

・席替えの方法

・席替えの時期やタイミング

・席替えのルール

 

席替えの方法

くじや自由席なら伝えなくても構いませんが、1年間教師が決めるということがはっきりしている、またはほとんど教師が決めるという場合には必ず最初にそのことを伝えてください。その際、「席替えの席は先生が決めます。」と断定するのではなく、なぜ教師が決める必要があるのかということを丁寧に説明した上で、子どもの反応を確認することが大切です。

「自由な席にすると、仲間はずれが出たり授業中に友達とおしゃべりする人がいたりして誰かが嫌な思いをすることがあります。みんなが仲良く、気持ちよく学習するためには先生が決めた方がいいと思うので、先生のクラスではいつも先生が決めるようにしています。」このように言えば、ほとんどの子どもは納得してくれます。あくまで“このクラスにいる1人1人のために”というスタンスを大切にしてください。(教師が決める目的もそのはずです。)

反応が微妙であれば、「先生と違う意見があるという人はいますか?」このように確認をとってください。ここで反対意見が出ることはほぼありません。仮に反対意見が出た場合には、笑顔で穏やかに(厳しく言うと強制的な印象を与えるため)教師が決めることのメリットを説明しながら誘導してください。ここまでやっていれば、仮に「自由席がいい。」という意見が後から出た際にも「先生は最初に確認したよね?そのとき全員納得したはずだよ。」とかわすことが出来ます。

 

席替えの時期やタイミング

教師の気まぐれで席替えをしていると、子どもはいつになったら席替えが出来るのか見通しが立たないため「席替えがしたい。」と言い始めるようになります。この言葉はなるべく言わせない方がいいです。なぜなら、子どもが「席替えしよう!」と言うのに任せて「じゃあしようか・・・」となっていると、師と子どもの立場が逆転してしまうからです。子どもが席替えをしたいと言った→教師がそれを受け入れたという事実があると、子どもはしたいと言えば席替えができると勘違いします。当然ながらいつも席替えはできないので、「今日はダメ。」と言わなければいけないことが多くなります。そしてやっかいなのが、子どもの多くが「席替えをしたい」という意見に賛同する点です。誰かが「席替えをしたい」と言うと、子どもたちの期待が一気に高まります。そこで教師が席替えを拒否すると、学級のテンションは一気に下がります。結果的に、何も言わないときより雰囲気が悪くなってしまうのです。これがくり返されると子どもの中に「先生は自分たちの願いを聞いてくれない」と不満が溜まり、教師は学級を動かしにくくなってしまいます。

このような状況になることを防ぐためには、子どもと出会った早いうちに席替えの時期について説明しておくことが大切です。子どもからの不満が出ないようにするためには、誰でもはっきり分かるタイミングで、多すぎず少なすぎない回数にするのが最大のポイント。学期ごとでは年2~3回と少なすぎるし、月ごとでは12回と多すぎます。私は、「日直が2周したら席替えをしよう。」と提案したことがありますが、これはなかなか上手くいきました。日直が何周したら席替えというのは、目安がはっきりしているので子どもでも簡単に席替えのタイミングを予想できます。また、同じ席で過ごす日数もばらつきがなく期間の長さが平等です。教師側も事前に席替えの回数を予測することが出来ます。日直が2周だと30人学級であれば1年に6回、つまり3学期制であれば学期に2回くらいの回数になります。日直が2周する頃には、私が忘れていても子どもの方から「先生、明日は席替えだよ~。」と律儀に報告してくれるので揉めることもなくスムーズです。席替えの頻度は好きにして構いません。とにかく予定を伝えておくということが重要です。それだけで無駄なやり取りが無くなるのでとても楽になります。

4月にタイミングを提示し、「これ以外では席替えをしません。」としっかり伝えておけば、子どもは「そろそろ席替えしよう。」とは言わなくなります。学級が2クラス以上ある場合は、学年で回数やタイミングを決めておくことを忘れないように。いくら予定を伝えていても、隣のクラスより席替えの頻度が少なければ不満につながります。学年で頻度がそろっていれば、学級間の差が無くなり子どもが不満を言うこともありません。

 

席替えのルール

席替えのルールに関しても、最初に説明をしておきます。私が子どもに提示するルールは次の3つです。

1.席を発表するときは喋らず、移動は素早く行動すること。

2.「えー」とか「嫌だ」という発言をしないこと。

3.近くになった友達に「よろしくお願いします」と言って笑顔で握手をすること。

このルールを伝える際も、それぞれなぜ必要なのかを丁寧に説明します。まず1つ目のルールには時間が関係しています。席替えは空いた時間を使って行うため、みんなが協力してテキパキしないと時間が確保できないということを伝えます。2つ目のルールは、楽しく席替えをするためです。好きな友達となりたい気持ちは分かるけれど「えー」と言われた人は嫌な気持ちになってしまうので、そんな思いをする人がいるくらいなら席替えはしません。すぐに止めますと話します。3つ目のルールは、これからお世話になる友達へ挨拶のしるしです。挨拶をすれば、明るい気持ちで新しい仲間とスタートすることが出来ますと伝えます。照れてしまう子どもたちであれば、触れ合いやコミュニケーションを伴うゲームを取り入れてみてもいいです。席替えをするとき隣の友達がどう思うかと不安を感じてしまう子がたまにいるので、時間があればそういう子のためにゲームなどを取り入れてあげてください。心がほぐれて安心するはずです。

ルールは、学級経営の方向性によって変えて構いません。ただし、2つ目のルールに関しては近いものを必ず入れてほしいと思います。席替えをするときは、毎回このルールを確認します。何も言わずに「ルールは何だったかな?」と聞くと、子どもたちは驚くほどしっかりと答えてくれます。子どもは席替えが大好きなのでこのルールはかなりの確率で覚えているんですね(笑)

 

 

楽しいイベントで実権を握る

席替えのように子どもが好きなイベントで教師が主導権をしっかりと握っておけば学級を動かしやすくなります。年度当初にどのようなやり方やルールで席替えを行うかしっかりと計画し、迷いを無くしておくことが学級経営においても重要です。教師に従うことで楽しく快適に活動できるという感覚を子どもたちに持たせましょう。反対に、席替えのような楽しいイベントでいつも子どもが不満を感じて文句を言ってばかりいるクラスは、確実にガタついてしまいます。