掃除のやり方を具体的に教えるとは?~指導の方法~

学期はじめ、掃除の指導はどのようなことを行っていますか?おそらく掃除場所の割り振りを確認する程度で済ませている学級がほとんどだと思います。時間をとって掃除のやり方を確認している教師は少ないです。

わざわざ掃除のやり方を教えなくとも、場所の割り振りさえしておけばとりあえず子どもは動きます。また掃除の時間に子どもの様子を見ていると、何となく掃除をしている雰囲気があるためやり方は分かっているようにも思えますよね。ですが、その状態をそのまま放置しているだけでは清掃が徹底されることはありません。

 

 

 

綺麗の基準を伝える

「綺麗になるまで掃除をしましょう。」このような指示で子どもは思い通りに動いてくれません。なぜなら、綺麗かどうかの基準は人によって異なるからです。いくら教師が「綺麗になっていない」と思っても、子どもが「綺麗になった」と思えば教師の指示通りに行動していることになります。なので、「まだ綺麗になっていないでしょ!」と注意したところで残念ながら子どもは不快な気分になるだけです。そこで、表現の仕方を変えてみます。例えば以下のような指示です。

  • ごみやホコリを1つも残さずに
  • 汚れが落ちるまで
  • ピカピカ光って見えるように

「ホコリが1つも残らないように掃除をしましょう。」と全体に指導して掃除が徹底されていなかったとき、「箒で取れるごみが残っているよ。」と注意すれば、「まだ綺麗になっていない。」と注意するときより子どもは言うことを聞きます。なぜなら、ごみが残っているかどうかは目に見える事実だからです。「綺麗になるまで」よりもずっと基準がはっきりしているため子どもも納得しやすくなります。

「汚れが落ちるまで」も、ごみやホコリと同じように目で確認が出来ます。子どもが「落ちません」と言ったところで、教師が一緒にやってみて汚れが落ちたら子どもの必死さが足りなかったことになります。床拭きの際によく使う指導です。「ピカピカ光って見えるように」は色々な場面で使えますが、特に黒板やトイレの掃除で効果的です。ほんの些細なことですが、言い方を少し変えるだけで子どもの受け取り方は格段に変わります。こちらの意図をより正確に伝えようという意識を持つことが大切です。

 

 

 

どこまで掃除するかを伝える

教室のどこからどこまで掃除しなければならないのかは、必ず最初に伝えてください。掃除の時間にやらなければならないことを全て示しておくことで、子どもたちはゴールを見据えて作業に取り掛かれます。

教室の掃き掃除・床拭き・黒板は毎日するのが当然として、問題なのは棚拭きや教師机の下、テレビ台の下、ベランダなど少し面倒なところや毎日掃除しなくて済むようなところです。結論から言うと、たまにでいいと思うところも毎日掃除させるべきです。なぜならたまにこういった箇所を掃除するよう指示すると、子どもは必ず不満を感じるからです。教師が子どものことを考慮して掃除の頻度を減らしたとしても、その結果子どもはありがたがるわけではありません。残念ながら、「いつもはしなくていいのに今日は損した」という感想になってしまいます。しかし、毎日掃除させるようにすればそれが当たり前になります。教師から指示する必要もありません。また、毎日掃除していれば必然的にいつも綺麗な状態を保てるので清掃も徹底されます。

子どもに一度「やらなくていい」と思わせると、同じことをさせるとき最初よりも抵抗が大きくなります。そのため、清掃を徹底させるためにやるべきところは最初に提示し、毎日取り組ませた方がいいです。ただし、あまり範囲を広げ過ぎると子どもの負担になってしまったり結局徹底させられなかったりするので、人数や実態に合っているかどうか考えた上での指導が望ましいです。

 

 

 

掃除用具の使い方を教える

これまでに掃除のやり方を指導されていたとしても、人によって教え方が違ったり自分の好きな使い方になったりして、子どもたちはいつの間にか自己流のやり方で掃除用具を扱うようになっています。掃除を徹底させるためには、新学期に基本的な掃除道具の使い方を教える、または再度確認する必要があります。ここでは多くの子が使うほうきとぞうきんについて取り上げます。

 

 

ほうき

使い方が簡単に見えるほうきも、スーッと床をなぞっているだけだったり、ちりとりでゴミを集めながらまわっていたりと意外に使いこなせていない子がいます。何度も細かく動かしながらゴミを一カ所に集めてちりとりで取るという使い方を確認してください。

使い方の応用として、ほうき隊(ほうき係の集まり)をつくり列のようになって掃く方法・ゴミを集める場所を数カ所設け、何回かに分けてゴミを取らせる方法などもあります。ほうき隊は前の子どもが残したゴミを後ろの子どもに取らせて効率的にゴミを無くしていく方法です。ゴミを集める場所を数カ所に分けさせる方法は、1カ所にこだわり教室の端から端までゴミを運んでいる子への指導に効果があります。

ほうきの指導をする際は、種類や交換の仕方も併せて確認してください。ほうきは数種類あり、教室・ベランダ・下駄箱・トイレなど、場所による使い分けを行っているはずです。どの場所でどの種類のほうきを使うのが正しいのか、またなぜその場所でそのほうきを使うのかを教えてやると、子どもは納得してその通りにします。柄が折れ曲がっているもの・金具が出ていて危険なもの・毛先が外側を向いていたり抜けていたりして使えないものは交換することなどを教えると自分たちで交換が出来ます。

 

 

ぞうきん

ぞうきんで多いのが、水気を切らずに床がべちゃべちゃ・拭き方が甘いという失敗です。低学年の子や力が弱い子はぞうきんがしっかりと絞れていません。水が滴らなくなるまで絞ることを教えてください。また、ぞうきんを両手で押さえてダッシュ!のような昔行われていた拭き方は危険なので今はやりません。私の勤めていた学校では拭き方がマニュアル化されていたのですが、そのやり方はこうです。

  • ぞうきんを片手の手のひらサイズにたたむ
  • 利き手でぞうきんを押さえ、反対の手は床
  • 利き手に力を込めて右・左と交互にスライドさせて拭く(少しずつずらしながら下に進む)
  • ぞうきん係は横並びでこの拭き方を一斉に行う(隣との間隔をつめると拭き残しが無い)

このやり方であれば、危険が無いうえに拭き残しを最小限に抑えることが出来ます。子どもに説明するときは、車のワイパーを例に出すとイメージさせやすいです。他にも、以下のような細かいことまで教えておきましょう。

  • 1回拭いて落ちない汚れは何度か拭いて落とす
  • 途中に落ちている大きなごみは拾う
  • 小さなごみがたくさん残っていたら拭く前にほうき係に取ってもらう
  • 拭いている面が汚れてきたら折りたたんで綺麗な面で拭く

子どもが困る前に対応策を教えておくことで、より清掃が徹底されます。

 

 

 

実際に見せて指導する

「テキパキと!」「すみずみまで!」いくら訴えても子どもたちはなかなか思い通りに動いてくれないことが多いです。子どもが動けないのは、サボっているのではなくイメージがつかめないからです。怠けている子どもはもちろん厳重に注意すべきですが、どうすればいいか分かっていない子にいくら怒ったとしてもその子は恐怖を感じるだけです。そういう場合、言葉だけで伝えるよりも実際に見せながら教えた方が子どもの理解は深まります。スポーツでも、口で言われるより実際の動きを見た方が分かりやすいのと同じように、掃除でも教師が求めている姿を子どもと共有することが重要です。

最も確実なのは、教師が子どもの前で披露して見せることです。ほうきを使ってどのように掃いたらいいか、ぞうきんはどのように使ったらいいか。説明しながら実際に目の前でしてみせるだけで効果的です。動きを伝えるために、1度教室をすべて掃除して見せるという教師もいます。その時に素早く動いてみせると子どもは感心します。

また、教師がして見せるのと同じくらい効果的なのが模範の生徒の動きを見せることです。クラスの子または上級生で教師のイメージ通りに動けている子に手本をさせると、子どもたちは「自分にも出来る」と感じます。また手本になった子も褒められて自信がつくのでいいことづくしです。

特に黒板の掃除は、上手な子とそうでない子で仕上がりの差が歴然としています。子どもの目から見てもその違いがよく分かるほどです。「黒板が汚い、もっと綺麗に!」と強制してさせるよりも、教師がして見せたり上手な子に披露させた方が、子どもたちは前向きに受け入れて頑張り始めます。黒板は掃除の時間だけでなく授業と授業の間に何回も消す作業が必要なので、早めにレクチャーしておくと子どもの手によっていつも美しい黒板が保たれます。

 

 

 

新学期に全体の前で指導

上記の指導を、少なくとも一度は全体で行ってください。全体で確認しておくことで、全ての子どもに掃除のルールを浸透させることが出来ます。ただ、一度全体に伝えるだけでは清掃は徹底されません。その後も子どもたちの様子を見ながら個人的に指導したり、また全体的に不十分な点が見つかった場合は再度学級での指導をしていくことが必要です。

ポイントとしては、4月中に掃除のやり方や当番のまわし方など基本的なことを徹底させることが重要です。そのためには、上記にあるような掃除の範囲、用具の使い方から机の並べ方、非常に細かいことについてどのようにすれば合格で、どのようにすればやり直しになるのか子ども全員がつかめるように指導する必要があります。その作業を4月中に行っておくことで教師の判断基準が明確に子どもたちへと伝わり、清掃のルールが学級全体に落とし込まれます。そうなれば、一年のあいだ清掃がくずれる可能性が圧倒的に低くなるのです。

やってはいけないのが個人的に指導するだけで終わらせてしまうことです。特にルールを変更する際など、何人かに伝えるだけでは混乱が生じて清掃が崩れ始めます。ルールをどのように変えるかやその意味などは、確実に全体で共有しておくことでルールの効力が保たれます。