健康観察とは?~目的や方法、観察のポイントと対応~

健康観察は学校において毎日行われていますが、そもそも何のためにあるのでしょうか。また必ず実施されるものですが、やり方や観察の視点は誰かが教えてくれるわけではありません。健康観察はどのような目的で行われているのか、またどんなことに気をつけながら子どもたちを観察すればいいのかなどをまとめました。

 

 

健康観察とは

 

健康観察の目的

健康観察は子どもたちの心身の状態を観察し、体調不良や心理的ストレスや悩み・いじめ・不登校・虐待や精神疾患など、心の健康問題の早期発見・早期対応につなげていくことが目的となっています。日頃から健康観察を行いその結果を学校全体で共有しておくことで、感染症の拡大防止や予防にも効果があります。

さらに、健康観察の結果は児童生徒理解に活用することも可能です。例えば健康観察で「いつもより暗い表情をしている。」「落ち込んでいるようだ。」といったような子どもの変化に気付いてその子の問題を探っていくと、友達同士のトラブルがあった・家族関係に問題が生じていたなどの事実にたどり着くことが出来る場合もありますこのように、健康観察の中での気づきを子どもの健康管理だけでなく指導にも生かすということを意識してください。

 

 

健康観察は誰の仕事?

健康観察は一見指導と関係なく見えるので、担任がすることに対して違和感を感じるかもしれません。しかし、学級の子どもと接する機会が多く小さな変化にも気付けるのはやはり担任です。私が幼かった頃は当番の仕事として子どもが健康観察をしていたこともありました。もしかしたら今でもそのようなやり方をしている学級があるかもしれません。しかし、健康観察は教師が行うべき仕事です。教師自らが健康観察を行うことは子どもを預かる上での責任を果たしているという証明にもなります。

子どもは心身がすぐれないのに「元気です。」と言うことがあります。自分の様子を上手く言葉で表現できなかったり、みんなの前では恥ずかしがって具合が悪いことを言い出せなかったりするせいだと思われます。その場合、教師が子どもの体調が悪いことに気付いてあげなければなりません。普段の様子との違いに気付くためにも、健康観察は教師が責任を持って行うべきです。そして子どもの様子に異変を感じた際は声をかけて確認する・保健室に行かせるなど必ず対応してください。また、体調不良だと分かっている子どもがいる場合は1日を通してその子を観察しておく必要があります。

また、健康観察から見えてきたことは担任だけが知っておけば良いことではありません。子どもの教育は担任だけで行うわけではなく、学校の職員全員が一丸となって行うもの、ひいては学校・家庭・地域が一体となって行うものです。少なくとも担任・養護教諭・管理職・保護者は子どもの様子を把握している状態が望ましいです。気になる様子があれば可能な限りコンタクトを取って情報共有するよう心掛けてください。

 

 

健康観察はいつする?

ほとんどの学校では、朝の会の時間帯に健康観察を行っていると思います。そのため「朝だけは必ずしなければならない」というイメージが強いですが、実は健康観察は朝だけすればいいというわけではなく、学校生活全体を通して実施していくことが大切です。

「健康観察は朝だけすればいいんじゃないの?」と疑問に思われるかもしれません。朝の健康観察はもちろん必須ですが、午前中に元気な様子だった子がその日1日健康な状態であるとは限りません。たとえ朝は健康そのものだったとしても午後から体調を崩し病院へ行かなければならない状況になるかもしれませんし、休憩時間に怪我をしているかもしれません。体調不良や怪我などの異常に気付くためには朝だけの健康観察では不十分です。心の問題を考えてもらえればより分かりやすいですが、学級全体で行う健康観察で自ら悩みを話すはずがないことは容易に想像がつくと思います。子どもの抱えている問題に気付くためにも、朝だけではなく授業中や休み時間など1日の中で定期的に子どもの様子を観察する必要があるのです。

 

 

 

健康観察の方法

 

健康観察の手順

朝に実施される健康観察について。健康観察表に記入する形式で行われる健康観察は、以下の流れで行われます。

  1. 出席者の心身の健康観察を行う。
  2. 欠席者と遅刻者を把握する。
  3. 結果を健康観察表に記入して提出する。

 

朝の時点でも、体調不良やケガなどの異常があり養護教諭の対応が必要だと判断したら保健室へ行かせてください。その際、養護教諭と相談し保護者に連絡を入れる場合もあります。欠席者や遅刻者についてはその理由を確認する必要があります。いつも一緒に登校している子どもや同じ地域の子どもにたずねると大体分かりますが、保護者に連絡して確実に把握するようにしてください。

 

 

 

健康観察をする場面

健康観察は朝だけでなく学校生活全体を通して行っていくものだと説明しましたが、朝以外ではどのような場面で実施すればよいのでしょうか。具体的には以下のような場面が考えられます。

  • 朝や帰りの時間・・・・登下校の時間帯や方法、表情などを確認する。
  • 授業中・・・・・・・・友人や教師との関係、参加態度などを確認する。
  • 休憩時間・・・・・・・友人関係や休み時間の過ごし方などを確認する。
  • 給食(昼食)時間・・・食事中の会話、食欲(食事の摂取量)などを確認する。
  • 保健室来室時・・・・・心身の状況や来室頻度などを確認する。
  • 部活動中・・・・・・・参加態度や人間関係などを確認する。

 

場面によって確認事項が多少異なりますが、基本的にどの場面においても表情や心身の状況は確認するようにしてください。その際は1人1人が元気かどうかを細かくチェックしていると大変なので、それよりも異常に気を付けておく方がいいと思います。例えば登下校であれば、これまで30分前には学校に着いていたのに遅刻ギリギリに登校するようになった、毎日友達と一緒に帰っていたのに1人で帰るようになった、など今までの様子との変化に注意してください。

 

 

健康観察のポイント

健康観察をするときは、何を観察すれば良いのでしょうか。心身の状況や表情、などと言われてもあまり具体的ではありませんよね。上の部分で少し触れてはいますが、もう少し具体的に解説していきたいと思います。

 

風邪などの体調不良は咳やくしゃみ、熱などの身体症状で異変に気付けますし、怪我であれば子どもでも分かります。ですが、心の健康問題については目に見えないので気付きにくい部分がありますよね。不安や悩みがあるときに自分から相談してくれれば手っ取り早いのですが、子どもは自分の気持ちを上手く言葉で表現できないことが多いです。そのときは、心の問題が顔の表情や行動に現れたり身体症状となって現れたりすることが多いので教師が細やかな観察をして気付いてあげる必要があります。子どもの様子を確実に捉えるために、健康観察の際は行動や態度対人関係という3つのサインに着目してください。

3つのサインの具体的内容

  • ・・・・・・・頭痛・腹痛など体の痛みをよく訴える、眠気が強い、体調を崩すことが多い など
  • 行動や態度・・・登校を渋る・遅刻や欠席が目立つ、好きなものを食べない、おどおどした態度 など
  • 対人関係・・・・攻撃的な行動が増えた、1人でいることが増えた、指しゃぶりや自傷行為をする など

※サインの現れ方は発達段階によって異なります。

その他の具体的内容に関して教職員のための子どもの健康観察の方法と問題への対応(文科省HP)の第1章・第2章に記述があります。参考にしてください。

 

 

 

健康観察から見えてきた問題への対応

健康観察をしていると、子どもたちの様々な問題が見えてくると思います。その際は教師として解決に向けて対処していくことが子どもの成長のために大切です。

例として、私がこれまでに見てきた子どもたちの気になる様子を挙げてみます。

  • 目の動きやまばたきの仕方に違和感(チック症状)がある。
  • 学校と家庭で様子が異なる。(家ではよく話すが学校では黙っている)
  • 授業中に寝ている時間が明らかに増えた。

 

このような異変の背景には、友達関係や家庭環境などの心理社会的な問題が関わっている場合があります。原因が判明し学校だけで解決できれば良いのですが、いつもそれで問題が解消するとは限りません。また、原因が何かさえ分からないこともよくあります。そういった場合には、学校だけで解決しようとせず保護者に相談することで解決の糸口が見えてくることもあります。

私は、気になることがあれば積極的に保護者に連絡するようにしていました。保護者は教師よりも長く我が子と時間を過ごしてきているので、相談すると何かしらの対処をしてくれたり、問題を知っていてすでに通院していたりというケースもあります。その場合は保護者と話し合いの上、今後の様子を見ていくことになります。もし不安であればすぐに保護者へ連絡するのではなく、まず同僚や管理職に相談してみてください。

ただ、子どもの異変の原因は心理社会的な問題だけが原因とは限りません。何かしらの疾患が原因となっている場合もあり、そのようなケースでは専門機関との連携が必要となります。まず、身体的な疾患があるかないかを見極めてから対応することが大切です。そのためには養護教諭との連携が必須になります。

 

 

 

子どもの健やかな成長のために

健康観察は、体調不良だけでなく心の不調やその裏に隠さた問題の発見のために欠かせません。教師だって仕事が立て込んだりやプライベートで悩みが生じれたりすれば憂鬱になりますよね。それと同じように、子どもたちも家庭の問題や友達関係で悩みます。大人でも悩みを解消できないことがありますが、まだ幼い子どもたちはどうでしょうか。問題の解決法をまだ知らない子はたくさんいますし、そもそも子どもの力では解決できない問題もあります。

どんなに素晴らしい指導をしたとしても、子どもが問題を抱えている状態では学びにつながりません。常に子どもたちの心身が健康な状態であることがより良い教育のためには重要であり、子どもの健康を維持していくためには日頃からの健康観察が大切になってきます。

また健康観察は教師だけで完結するのではなく、子どもたちにも積極的にフィードバックしていってください。なぜなら、健康観察には子どもたちの自己健康管理能力を育てる目的もあるからです。自分の健康状態を子どもたち自身に意識させ、健康管理に気を配ることの大切さを伝えていってくださいね。

 

 

参考文献:教職員のための子どもの健康観察の方法と問題への対応(文科省)