家庭訪問当日までに準備しておくこと

前回の記事では、家庭訪問の目的や話す内容、マナー等についてご紹介させていただきました。

 

 

家庭訪問を成功させるためには、心得を守ることに加えてもう1つ取り組むべきことがあります。それは・・・事前準備です!備えあれば患いなし。授業と同じように、家庭訪問も準備万端の状態で臨むことで失敗を防げます。具体的にどのような準備をしておけばいいか、以下にまとめていきます。

 

 

 

対話するための準備

「家庭訪問先で聞くことや話す内容が思い浮かばない・・・」というとき、その原因の1つとして情報不足が考えられます。相手のことを何も知らないために『話題が思い浮かばない』のです。ノープランで訪問すると、世間話をするだけで終わってしまうこともしばしば。せっかくの機会なので、子どもの教育に生かせる実りある家庭訪問にしたいですよね。

 

 

家庭の状況をある程度把握する

この問題を解決するために活用できるのが、家庭調査票(生活調査票)です。学校では新学期に調査票を書いて提出するようになっています。自治体によって多少内容が異なりますが、家族構成や持病(アレルギー)、要望などに関して記入する欄が設けられています。この書類が手元にある場合は、家庭訪問までによく読み込んでおきましょう。調査票を確認していくと、家庭訪問で話題にしなければならない問題が見えてくることもあります。

調査票の中には、子どもを理解する上で大切な情報が記載されています。また、保護者はその内容を教師が知っている前提で話すことも多いです。特に保護者からの要望が書かれていた際は、担任(学校)の考えや解決策を提示出来るようにしておいた方がいいです。

 

調査票の内容をもとにある程度話す内容について計画を立てておくと家庭訪問での会話がスムーズに進みます。話し合うべき内容がある家庭では、質問をする際に「アレルギーをお持ちのようですが…」などその話題を教師側から出しつつ話をすると保護者は安心出来ますし、あなたへの信頼も深まります。

 

 

長所を伝えるための行動記録

前回の記事で、家庭訪問では保護者に子どもの活躍や長所を話してほしいとお伝えしました。しかし、これは何となくのイメージではいけません。保護者に子どもの長所を伝える際は、子どもがとった行動(言動)の良さを具体的に褒めることを行ってください。

 

例:掃除への姿勢を褒める場合。

×「掃除を積極的に頑張っていました。」

〇「雑巾がけをすすんでやり、棚の奥や黒板の溝まで丁寧に拭き上げていて感心しました。○○さんが学級の手本となっています。」

曖昧な表現をするよりもエピソードを交えながら、どんなことをしていたか・なぜそれが素晴らしいのかを具体的に伝える方が、話のイメージが広がり信憑性が増します。また、教師が子どもをよく見ているという印象も与えることが出来るのでおすすめです。これは保護者へ伝える際だけでなく子どもを直接褒める際にも使えるテクニックです。

 

上記のようなエピソードをクラス全員分、家庭訪問の場で思い出すのは至難の業です。相当記憶力が良くない限り不可能ですよね。なので、ここでも家庭訪問当日までに準備をしておくことが大切になります。

やることは簡単です。子どもが望ましい行動をしたとき、休み時間や1日の終わりにそれをメモするだけ。メモする場所は、ノートでもPC上でも構いません。とにかく良い行動や言動を見つけてそれをコツコツ記録し続ければ、家庭訪問までには全員分の活躍や長所が準備できます。これを実践すると、なかなかメモが増えない子どもが出てくることがあります。そういう子は、意識して観察する必要があります。

子どもの活躍や長所は、1つだけでなくいくつかメモしておくと家庭訪問以外の場面でも使えます。記憶は薄れてしまうので、行動については具体的に記述しておくのがおすすめです。

 

 

保護者からの質問を予測

家庭訪問では保護者から色々な質問をされます。突発的な質問については答えられなくても仕方ありませんが、事前に予想できる質問についてはその場で答えられるようにしておきましょう。特に行事に関してはよく聞かれます。行事予定を確認し、主要な行事の日程は頭に入れておいた方がいいです。不安であれば家庭訪問に行事予定を持参してもいいと思います。

また、受け持つ学年特有のイベントや行事の日程・大まかな内容などもチェックしてください。例えば各校種の最高学年であれば卒業式や受験についてよく聞かれます。質問内容によっては答えられないことがが当然ありますし、それは持ち帰った方がいいです。しかし、教師の姿勢として学年の予定を全く把握していないとなると保護者は不安になるので気をつけましょう。

 

 

 

整理しやすいメモを準備

家庭訪問には、必ずメモを持参してください。使わないことがほとんどですが、稀に使用することもあります。例えば、以下のような場合です。

  • 質問を受けて後日返答するとき
  • 子どもへの留意事項があるとき(持病など)
  • 相談を受けたとき

1日に何軒もの家庭をまわっていると、どの家庭で何を話したかあやふやになります。しかし、保護者からの質問や相談などは絶対に忘れてはいけません。「後日お返事させていただきます。」と言っていて返答しなかったり、大事な情報を伝えられていたのにその部分が抜けていたりすると、信頼を失うことは言うまでもありません。日頃から重要な内容は必ずメモする習慣をつけましょう。

教育に関する相談、保護者の不安や悩みなどについては必ずしもメモする必要はありません。ただ、メモするかどうかに関係なく子どもや家庭の背景を理解しておくための重要な情報であるという意識を持っておくことは大切です。

 

メモをとる際は、1つの用紙に羅列して書くとどの家庭の情報であるか分からなくなる可能性があります。また、情報が増えてくると整理が難しくなってきます。そこでおすすめなのが、あらかじめ整理したメモを用意しておく方法です。

新しいノートを用意し、見開き1ページを1人分の子ども用として使います。1クラスの人数が少なければ数ページ使用して構いませんし、反対に多ければ見開き半ページが1人分でも問題ありません。1人分のページの上に子どもの名前を記入します。これでメモの準備は完了です。あとは、家庭訪問先でメモの必要が出ればその家の子の名前があるページに記入するだけで情報が整理されます。

このメモは、家庭訪問が終った後も生徒指導や保護者からの連絡・相談があったときなど様々な場面で活躍してくれます。PC上でデータとして管理するのも良いですが、すぐさまメモが必要なときのためにノートを用意しておくと安心です。

 

 

 

移動の計画を立てる

家庭訪問では、家から家への移動計画を綿密に立てておくことが必須です。これを怠ると多大な時間をロスして訪問計画が破綻し、保護者を待たせることになってしまいます。特に最初のうちは対話だけでも緊張するので、移動にミスが出ると一気に気持ちの余裕が無くなります。確実に準備しておいてください。

 

 

家の場所やアクセスを確認

「ナビがあるから大丈夫!」私は最初、そう思っていました。しかし、家を訪ねるのはお店に行くのとはワケが違うんですね。昔ながらの団地は細くて行きづらい道が多い上、一般的な家は道路沿いに目立つように建っていることなどほとんどないので見つけにくいです。苦労して時間通りにその住所へたどり着いたとしても、玄関の場所が分かりにくかったりそもそも表札が無くどの家か分からないなんてこともよくあります。そうこうしている間に大遅刻・・・なんてことになりかねません。そうならないためにも、必ず一度は下見に行きましょう。

下見に行く際は以下の5点を確認しておくといいです。

  • 家の場所(どの家か)
  • 家の入り口(玄関の場所)
  • 家までの道・経路(どの道を通って行くのが早いか)
  • 家から家に行くまでにかかる時間
  • 駐車スペースがあるか

下見にいく前に、家の位置関係や各家庭の希望時間をもとに訪問順を決めます。そして、リハーサルを行うつもりで計画通りにまわってみてください。学校から家まで、家から家が近距離にある場合は徒歩でも問題ありません。どちらかと言えば徒歩の方が駐車のことを考えなくて済むので楽です。ただし、時間を要します。

地域事情によっては車でまわるしかない場合もあります。その際は車で通れる道で何分かかるかや駐車スペースの有無まで確認する必要があります。悩んだ際はベテラン教師か保護者に尋ねておきましょう。そうしないと駐車違反になる危険があります。下見のときに経験のある先生が一緒だとより心強いので、頼めそうな方がいればお願いしてみましょう。

 

 

 

最後に心の準備を

家庭訪問の期間は授業が短くなり、話をするだけだから楽でラッキー!かと思いきや、事前準備がこれだけ大変となると愕然としますよね。人によっては、「家庭訪問をするよりいつも通り授業していた方が楽・・・」と嫌がるほどです。(私の同僚にそういう方がいました。)

個人的には、保護者と関わるのが好きだったので家庭訪問は楽しみでした。保護者1人1人とじっくり話せる機会もなかなか無いですしね。家庭訪問に苦手意識があるという方は、あまり構えすぎず「どういう保護者だろう?」「より良い学級経営のヒントにしよう!」くらいの気持ちで、前向きに捉えてみてはいかがでしょうか。保護者も緊張しているので、笑顔を忘れずに!